ロイヤルファミリーとの深い絆
英国をはじめヨーロッパ各国の王室御用達として知られる名門クラリッジズは
1856年、クラリッジ夫妻によりロンドン中心部メイフェアに創業。
英国王室との関係は1890年、ヴィクトリア女王がナポレオン3世妃、ウジェニー王妃をこのホテルに招待したことに遡る。
1940年代になるとギリシア、ノルウエーのロイヤルファミリーが戦火を逃れて避難していたのもここクラリッジズ。
1945年、旧ユーゴスラビアのアレクサンダル2世が生まれたのが当時の212号室であったほど、各国のロイヤルファミリーにとって大切なホテルである。
アレクサンダル2世が産声を上げた部屋は現在、アレクサンダル・スイートとして人気を博している。
イギリスを代表するホテル
クラリッジズは、1999年に出版されたジェフリー・ロビンソンの小説「ザ・ホテル」の舞台になった。
小説には、一人一人のスタッフのゲストに対する思いやりと仕事への誇りが描かれ、
この本を読むと、クラリッジズが質の高いサービスを提供できる理由が理解できる。
2011年にはBBCにより、同ホテルを舞台としたドキュメンタリー番組が制作されたことからも
クラリッジズはイギリスを代表するホテルとして世界に名を馳せている。
またクラリッジズのサービスは宿泊のゲストだけのものではなく、
2020年、コロナ禍においてホテルが休業を余儀なくされた際、
自宅への帰宅が叶わない医療関係者を無償でゲストとして迎えたというニュースも記憶に新しい。
アール・デコの美の殿堂
ホテルの入り口では英国紳士の伝統を感じる制服を着たドアマンがゲストを出迎える。
回転扉の向こうは、創業時から変わらぬ美しいアール・デコの世界が広がり、
一瞬、時が戻ってしまったかのような錯覚に陥る。
客室のインテリアはアール・デコをベースに細部にモダンなデザインを融合させたもの。
手掛けたのはインテリアデザイナーであり、エリザベス女王の甥、デビット・リンリー。幼い頃、女王と共にこのホテルを訪れた記憶が蘇ったという。
ホテルの最高級の客室、シグニチャースイートは全5室、アレクサンダル・スイートの他、デザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグがデザインしたグランドピアノ・スイート、ロイヤルスイート、ジ・オクタゴン、ザ・メイフィエアー・パヴィリオン。全てのシグニチャー・スイートルームからロンドンの街を見下ろすことができる。
アール・デコをベースにモダンなアレンジを取り入れたインテリアにも注目したい。
アフタヌーンティー
人気のアフタヌーンティーは90日前からオンラインでの予約が可能で予約開始と同時に満席となるほどの人気であるが、
宿泊のゲストは最優先。
子供用のアフタヌーンティーメニューを用意していることもクラリッジスのサービスの一つ。
宿泊時には絵本やDVDのサービスも可能で小さなジェントルマンとレディに優しいホテルだ。