時の贈り物
シャンパーニュに必要なもの。最高級の素材、高度な醸造技術を有する醸造家、そして熟成に必要な時間。
パイパー・エドシックは時間にフューチャーしたシャンパーニュ「オール・セリィ1982 デュオ」を世界で500セット、「オール・セリィ 1982」単体を2,500本限定でリリースした。世界に3,000本という貴重なシャンパーニュには自由な発想と大胆さというメゾンの精神が宿る。
グレートヴィンテージである1982年。「オール・セリィ1982」は、オール・セリィ(Hors-Série, 並外れた、飛び抜けた、特別仕様の)という名の通り、単なるバックヴィンテージではなく、39年という長い熟成期間の可能性を具現化した前衛的なアプローチが取られている。
「オール・セリィ1982」は、1982年の収穫、瓶詰めの後、39年間澱と共に熟成。収穫から40年後の2022年に澱引きされるまで乾杯の時を待ちわびていた、いわば「時の贈り物」。贈り主は40年という歳月。この「時の贈り物」に最後の仕上げを施したのがシェフ・ド・カーヴのエミリアン・ブティヤ氏だ。
その仕上げとは、2022年1月に行われた澱引きとリキュール添加 (ドザージュ)であるが、澱引きの際にオール・セリィ1982の3,000本のボトルすべてを醸造チームでテイスティング、ドザージュの量をグラム単位で調整、オール・セリィ 1982のベストな味を求めて緻密な作業を続けた。
特筆すべきはドザージュに使用したリキュール。1982年ヴィンテージのマグナムボトルで熟成されたワインが使われていることからも、オール・セリィ 1982に対するエミリアン・ブティヤ氏の強い思いが伝わってくる。
「オール・セリィ 1982デュオ」の相手は「ブリュット ソヴァージュ 1982」。
こちらは、1990年代に発売され好評を博したパイパー・エドシック伝説のシャンパーニュの一つである。
オール・セリィ 1982との違いは、澱引きの時期。ブリュット ソヴァージュ 1982は、1982年の収穫からちょうど10年後の1992年に澱引き、コルクで打栓、その後39年の熟成を重ねたもの。
ブリュット ソヴァージュ 1982に加えたドザージュは僅か4g/L。奇しくもオール・セリィ 1982と同量であった。当時のシャンパーニュはブリュット(ドザージュは12g/L以下)が主流であった中で、ドザージュを少量に抑えたエクストラ・ブリュットのシャンパーニュが作られたことは画期的なことであった。このシャンパーニュはソヴァージュ(Sauvage, 野生的な、未開の)と名付けられ世界中が注目した。
共に1982年ヴィンテージ、ピノ・ノワール60%, シャルドネ40%という同等のブレンド比率、同量のドザージュという全く同じオリジンであるが、異なる時の過ごし方をしてきた双子のような両者は、熟成の時がシャンパーニュにもたらすものは何か、そして、時の大切さを私たちに教えてくれる。
40年前のヴィンテージに真摯に向き合うと同時に、未来への眼差しを忘れないエミリアン・ブティヤ氏は
40年後、またはそれ以上の「時の贈り物」のデッサンを既に描きはじめているのではないだろうか。
「オール・セリィ1982」
淡いゴールドの色調。ミラベルプラム、金柑、ドライパイナップル、新鮮なマルメロが織りなす甘美なアロマ。ジンジャーとベルガモットティーが繊細にアクセントを加え、コーヒー豆やトーストのようなスモーキーさがワインのミネラル感を程よく調和。
「ブリュット ソヴァージュ 1982」
ゴールドの色調とコッパーの輝き。すっきりとフレッシュなストラクチャーと長く続く後味が特長。最初に立ち上る砂糖漬けのフルーツ、ブリオッシュやフランジパーヌのような焼き菓子、そして繊細なヴァニラとナツメグの
アロマ。その道はやがて栗のハチミツ、熟成ラム、レッドペッパーの温かな調和へとつながる。
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Text by Harumi KONO