コンコルド広場に君臨するパラスホテル
蘇ったルイ15世の館
エッフェル塔、シャンゼリゼ、グランパレ、パリの名所に徒歩圏という絶好のロケーション、コンコルド広場10番地。
オテル ド クリヨン、ア ローズウッド ホテルは1758年、時の国王ルイ15世がパリに滞在する時の館として当時の有名な建築家アンジュ・ジャック=ガブリエルが建てた宮殿だった。マリー・アントワネットもこの館で過ごし、奇しくもこのコンコルド広場で生涯を終えた。1919年にはヴェルサイユ条約の調印式が行われるなどクリヨンは常にフランスの歴史的シーンの舞台であった。
フランス王室の所有からホテルの名前の由来となった貴族クリヨン卿一家の住まいとなった後、1906年からホテルとして営業を開始。チャップリン、バーンスタイン、昭和天皇など各国の要人がパリ滞在をこのホテルで過ごした。2013年に全館改装のためクローズ、2017年7月に新たな扉を開いた。改装にかかった費用は総額250億円、四年という歳月をかけた壮大なプロジェクトだった。
コンセプトは宮殿が建てられた18世紀と21世紀の融合。レバノン出身の女性デザイナー、アリーヌ・アスマール=ダマンを中心に、歴史的建造物である宮殿に現代アート作品やモダンなデザインの家具がさり気なく配置され、カール・ラガーフェルドを「レ・グラン・アパルトマン」(スイートルーム)のデザイナーに起用するなど、長い歴史と時代の最先端を同じ空間で感じ取ることができる。
124の客室のうち36のスイートルーム、うち10部屋あるシグニチャー・スイートは、ここで暮らしたマリー・アントワネット、作曲家バーンスタイン、デュック・ド・クリヨン(クリヨン卿)への敬意を込めてその名が付けられている。
クリヨンのホスピタリティ
いわゆるフロントデスク、レセプションはクリヨンにはない。
宿泊のゲストは入り口の脇にある暖炉付きの美しいシャンデリアのあるサロンに通される。ここでチェックインの手続きを済ませ、担当のバトラーと対面する。
長旅で疲れたゲストをパリの自宅でくつろいでもらいたいというパラスホテルのホスピタリティだ。クリヨンのスタッフは客室をシャンブル(部屋)ではなく、アパルトマンと捉えている。
パリらしいサービスは客室のアメニティにも。パリで創業した薬局ビュリーのアメニティが使われている他、ミニバーにはクリストフルの銀器、アビラントの食器などフランス屈指の製品で統一されている。
レストラン・バー
ミシュラン1つ星のメインダイニング「L’Ecrin (レクラン)」はその名の通り、クリヨンの宝石箱。ボリス・カンパネラシェフ によりフランス料理の真髄を味わうことができる。
La Cave(ラ カーヴ)では、MOFのソムリエ・グザヴィエ・チュイザが中心となりワインメーカーを招聘してメーカーズディナーを開催。フランスでの美食体験の醍醐味である。
ロココ調のインテリアが美しいバー「Les Ambassadeurs (レザンバサダー)」は、パリのヴェルサイユ宮殿のようだ。フランス王家を思いながらカクテルを楽しみたい。
中庭のパティオに通じるサロン・ド・テ「Jardin d’Hiver (ジャルダン ディヴェール)」でパリの空の下、シェフ・パティシエ マチュー・カルランが作る旬の果物を使ったスイーツと好みのお茶でゆっくりとアフタヌーンティーの時を過ごしてみたい。
また、2023年4月にオープンした「Butterfly Pâtisserie(バタフライ パティスリー)」はテイクアウトも可能。スイーツをお供にピクニックもパリジャン・パリジェンヌの過ごし方。
ローズウッドで欠かすことのできないスパは地下1階に。煌びやかなデコレーションのプールはそこにいるだけでパリのラグジュアリーを実感できる。
ヘアサロンはもちろん男性ゲストのための理髪店や靴磨きもあり、パリを訪れるゲストのお洒落心を刺激するホテルだ。